ぼくと「風立ちぬ」―美しい日本人たちは確かにいた
No.32 風立ちぬ ★★★★☆
原作・脚本・監督:宮崎駿
音楽:久石譲
声の出演:庵野秀明/瀧本美織/西島秀俊/西村雅彦/大竹しのぶ/國村隼/志田未来/竹下景子/風間杜夫/スティーブン・アルバート/野村萬斎
あらすじ
かつて、日本で戦争があった。
大正から昭和へ、1920年代の日本は、不景気と貧乏、病気、そして大震災と、まことに生きるのに辛い時代だった。
そして、日本は戦争へ突入していった。当時の若者たちは、そんな時代をどう生きたのか?
イタリアのカプローニへの時空を超えた尊敬と友情、後に神話と化した零戦の誕生、薄幸の少女菜穂子との出会いと別れ。
この映画は、実在の人物、堀越二郎の半生を描く。
生きねば。
(宮崎駿の言葉)
※盛大なネタバレが含まれます。閲覧注意※
続きを読む宵山万華鏡
宵山万華鏡 森見登美彦 著
・京都夏の風物詩、祇園祭の宵山を舞台にした6つの短編。宵山を統べる異形・宵山様を軸に物語は展開する。
「宵山姉妹」
好奇心旺盛な姉と泣き虫だがしっかり者の妹。その妹が宵山で経験した不思議な話。
→例のごとく、その後の物語への伏線満杯でございました。
不思議な男・乙川によって仕組まれた、藤田氏を騙す「偽宵山」の企画。『祇園祭司令部』として奮闘する学生たちの活躍?を描く。
→ここは『新釈走れメロス』のような笑いと甘酸っぱさと青春の煌めき溢れるパート。『夜は短し歩けよ乙女』のゲリラ演劇「偏屈王」の美術さんが再登場!彼女の妄想のもと作り上げられる「意味のない」偽宵山であるが、じつは物語の核心にリンクしているという驚きの展開。
15年前、宵山の夜に消えた従姉。水晶玉を探す男・乙川。画廊先代の謎の死。繰り返される宵山。赤い浴衣の少女たち。そして万華鏡・・・。
→ここから一転してダークファンタジー。まるで実相寺昭雄監督の怪奇大作戦のようなストーリーが続く。6話すべてが絶妙に絡み合い、美しくも恐ろしい、不思議な世界を紡ぎだす。僕はこういった世界観が大好きなので、本作気に入りました。『四畳半神話大系』に次ぐ傑作!
宵山に大切な人といったとき、もしあなたが宵山初心者であるのなら、絶対にその人の手を離さないことです・・・。
読了:2013年7月23日
ぼくの「スパルタカス」―圧倒的大人数で描かれる決戦にカタルシス
No.29 SPARTACUS スパルタカス ★★★☆☆
原作:ハワード・ファスト
脚本:ダルトン・ドランボ
製作総指揮:カーク・ダグラス
音楽:アレックス・ノース
出演:カーク・ダグラス/ローレンス・オリヴィエ/ジーン・シモンズ/チャールズ・ロートン/ジョン・ギャヴィン
上映時間:184分 193分(復元版)
公開:1960年10月7日(アメリカ) 1960年12月15日(日本)
あらすじ
紀元前1世紀のローマ帝国。リビアで奴隷として働いていたトラキア人のスパルタカス(ダグラス)はその燃え盛る反抗心から剣闘士の養成所へと売られてくる。そこでは支配者たちによる厳しい訓練と体罰が待っていた。そんなスパルタカスの心の慰めは、同じ奴隷であるバリニア(シモンズ)であった。二人は次第に心惹かれあう。
地獄のような訓練が続くある日、養成所にローマからの客人が現れた。それはローマを絶対的に崇拝する軍人クラサス(オリヴィエ)たちであった。一行は奴隷剣闘士たちの決闘を所望する。スパルタカスは黒人と戦うが負けてしまう。しかし、黒人は彼を殺すことなく、むしろクラサスたちを狙った。
反逆者として黒人が殺されたとき、スパルタカスのなかで何かが燃え出した。そしてそれが爆発するまで時間はかからなかった。
愛しいバリニアがローマへと売られていく。彼女とスパルタカスを嘲笑う声が彼の頭に響いたとき、彼は爆発した。
養成所から脱走し、徒党を組んだ奴隷たちは大軍団に発展していく。遂には元老院が動き出すまでに。
スパルタカスは彼が目指す自由を、その手に掴むことができるのであろうか・・・。
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